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HYT中古時計の購入ガイド:価格と修理のリスクを分析

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HYT時計の中古品購入のリスク分析

Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)

こんにちは。 Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)運営者の「W」です。

腕元に「液体」で時間を表示する—。そんなSF映画のようなコンセプトを実現したHYT(エイチ・ワイ・ティ)。その独創的なデザインと、まるで「腕時計の宇宙船」とでも言うべき近未来的な技術に惹かれる人は多いかなと思います。

ただ、いざHYTの時計を調べてみると、その唯一無二の魅力と同時に、たくさんの深刻な不安が湧いてきませんか?

過去にブランドが倒産したけど、アフターサービスや修理は本当に大丈夫なの?」「あれだけ複雑な機構だと、中古の信頼性や評判は信用できる?」「そもそも、新品が1,000万円以上するのに、中古の価格はどれくらい?」「一番怖いのは、あの液体に気泡(バブル)が入ったりしないのか…?

私もその気持ち、すごく分かります。あまりにも特殊すぎて、従来の時計の知識が通用せず、どこを信じていいか分からないですよね。

この記事では、そんなHYTの中古購入に関する「知っておくべき深刻なリスク」と、それを理解した上でなお魅力的な「驚くべきリターン」について、私なりに調べた情報を徹底的に整理してみました。中古のHYTがあなたにとって「賢い買い物」になるか、それとも「高額な修理代を伴うリスク資産」になるか、その最終判断を下すための材料にしていただけたら嬉しいです。

  • HYT独自の「液体機構」と潜む技術的リスク
  • ブランド倒産が中古市場と修理体制に与えた深刻な影響
  • なぜ? 衝撃的な中古価格と買取の現実
  • 中古個体で絶対に確認すべき「気泡」のチェックポイント

HYT時計の中古品購入のリスク分析

HYT時計の中古品購入のリスク分析

Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)

中古のHYTを探す上で、まず目をそらしてはいけないのが「リスク」の部分かなと思います。その圧倒的なデザインとロマンに惹かれて飛びつく前に、その特殊すぎる心臓部、波乱に満ちたブランドの歴史、そして購入後の運命を左右する「修理」について、しっかり見ていきましょう。ここが一番重要です。

液体で時を刻む、HYTの仕組み

液体で時を刻む、HYTの仕組み

Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)

そもそもHYTがどうやって液体で時間を表示しているのか、私も最初は全く謎でした。「ハイドロメカニクス」なんて呼ばれても、ピンとこないですよね。

すごく簡単に言うと、伝統的な「機械式ムーブメント」と、密閉された「流体モジュール」が連動している、前代未聞のハイブリッド構造なんです。

ムーブメントの力で、ダイヤル下部(多くは6時位置)にある「ベロー」(ふいご)と呼ばれる2つのピストンが、ゆっくりと動きます。このベローが、ダイヤル外周を縁取る、厚さわずか $0.8 \text{ mm}$ という極細の「キャピラリー」(毛細管)の中に入った、2種類の液体を押したり引いたりするんです。

この管の中には、互いに絶対に混ざり合わない2種類の液体(例えば、緑や赤に着色された水ベースの液体と、透明なオイルベースの液体)が封入されています。

そして、その2つの液体の境界線(メニスカス)が、今現在の「時」を示すインデックスになる、という仕組みです。針の代わりに、液体そのものが時間を表示するんですね。

古代の知恵、現代の技術

この「液体で時間を計る」という発想は、実は紀元前の古代エジプトで使われた「クレプシドラ(水時計)」がルーツだそうです。数千年の時を経て、古代の原理をオート・オルロジュリー(高級時計製造)の文脈で再解釈するなんて、ロマンがすごいですよね。

1日2回の儀式:「時のリセット」

HYTの多くは12時間表示です。1日2回(多くは6時と18時)、色のついた液体が12時間かけてダイヤルを一周すると、その瞬間にムーブメントがベローの圧力を一気に解放します。

すると、色のついた液体は「リワインド(逆行)」を開始し、約60秒かけて元の開始位置(6時位置)へと一気に戻っていきます。この機械と液体が織りなす「時のリセット」こそ、HYTのオーナーだけが体験できる視覚的なスペクタクルみたいですね。

ただ、この機構、聞くだけでとんでもなく繊細なのが伝わってきます。ガラス管の内側には、性質の違う液体がシミや痕を残さずにスムーズに流れるよう、ハイテクなナノコーティングが施されています。そもそも、この密閉空間に微小な気泡一つ入れずに2種類の液体を充填する「プライミング」作業は、専門技術者が1年もの訓練を要するほど難しいものだったそうです。

この「製造の極端な困難さ」と「繊細さ」こそが、中古購入者が知るべき「リスク」の根源に直結していきます。

ブランド倒産の歴史と中古への影響

ブランド倒産の歴史と中古への影響

Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)

HYTの中古を調べる上で、必ず出てくるのが「倒産」の2文字です。これは購入後のサポート体制に直結するため、非常に重要なポイントになります。

2012年に華々しくデビューし、時計業界に衝撃を与えたHYTですが、その革新性ゆえの高コストな製造体制や、パンデミックによる市場の冷え込みが経営を直撃しました。そして、2021年3月に一度、正式に破産を申請しています。

「え、じゃあ持ってる時計は全部修理不能な“オーファン・ウォッチ(孤児の時計)”になるの?」と、当時のオーナーさんたちは本当に不安だったと思います…。

しかし、幸いなことにブランドの灯は消えませんでした。2021年後半には新たな投資家グループ(Kairos Technology Switzerland SA)がHYTの資産を買収し、2022年には元チューダーなどで活躍したダヴィデ・セラート氏を新CEOに迎える(※現在は退任)など、劇的な「新生HYT」としての再始動を果たしています。

この「倒産」と「再生」の歴史によって、中古市場は明確に2つに分かれました。

  • 倒産前モデル(H1, H0, H2, Soonowなど): 現在の中古市場の主役です。私たちが「hyt 時計 中古」で探すのは、ほとんどがこれにあたります。
  • 新生HYTモデル(Hastroid, T1, S1など): 2022年以降のモデル。まだ中古市場での流通は稀ですね。

サービスは継続されていた?【重要】

これは中古購入を検討する上で、最も重要な安心材料かもしれません。あるレポートによると、HYT本体が破産プロセス中にあった間も、核心部品である流体モジュールを製造していた姉妹会社の「Preciflex社」は、部品とサービスの提供を継続していたとされています。(出典:Preciflex公式サイト)

つまり、HYTの技術的根幹は、ブランドの経営状態とは(ある程度)独立して維持されていた可能性が高いんです。新生HYTがこの技術基盤を引き継いだため、理論上は「倒産前モデル」であっても、(高額な費用がかかる可能性はあっても)正規のサービスを受け続けられる可能性が極めて高い、ということになります。これは大きな希望ですよね。

HYTの時計、修理は可能か?

HYTの時計、修理は可能か?

Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)

では、その「修理」は実際どうなのでしょうか。「倒産前モデルでも修理可能っぽい」と分かりましたが、問題は「どこで」「いくらで」できるのか、ですよね。

結論から言うと、HYTのメンテナンスは「正規サービス一択」と考えた方が良さそうです。それ以外の選択肢は、ほぼ無いと言っても過言ではないかもしれません。

メーカー自身も公式サイトで「非正規パートナーに持ち込むと、保証は無効になる」と強く警告しています。これは単なる脅しとかではなく、前述した技術的な問題が大きいのかなと。

一般の修理店ではなぜ対応不可なのか?

流体モジュールは、一般的な時計修理の技術(ムーブメントの分解清掃、パーツ交換)とは全く異なる分野(流体力学、化学コーティング)の塊です。

  • 下手に開封して、目に見えないレベルの微小な気泡が一つでも混入したら?
  • 特殊なナノコーティングを傷つけてしまったら?
  • そもそも、あの液体を再充填する技術と設備はどこにある?

…と考えただけで、リスクが高すぎますよね。そのため、多くの独立系修理店では「何もできない」か、良心的なお店ほど「これはウチでは触れません」と断られるか、結局スイス本国送りになる可能性が非常に高いと思われます。

2024年現在、HYTの公式サイトのストアロケーターには、日本の正規販売店として愛知県にある「HASSIN(ハッシン)」さんが記載されています。中古でHYTを購入した場合も、メンテナンスの相談窓口は(断られる可能性もゼロではないかもしれませんが)基本的にはこの正規店経由でスイス本国に送る、というのが唯一のルートになりそうですね。

もちろん、その費用は一般的な機械式時計のオーバーホールとは比較にならないほど高額になる可能性があります。スイス往復の送料、複雑機構の技術料、そして万が一の「流体モジュール全交換」となれば…。この「維持費の覚悟」は、中古購入において絶対に必要かなと思います。

(ちなみに、一般的な時計のオーバーホール相場については、機械式時計のオーバーホール料金相場の記事も参考にしてみてください。もちろんHYTは完全に別格ですが…)

H1とH0、主要モデルの価格

H1とH0、主要モデルの価格

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現在の中古市場でよく見かけるのは、主にこれらの倒産前モデルです。それぞれ個性があって面白いですよね。

  • H1(エイチワン): 2012年にブランドのデビューを飾ったファーストモデル。ケース径$48.8 \text{ mm}$という巨大なサイズ感も含め、これぞHYTというアイコン的存在です。\\\51 \text{ mm}$とさらに大型化しましたが、ラグがないデザインのため、手首へのフィット感はH1よりもむしろ改善されている、とも評されています。
  • Soonow(スノウ): 流体モジュールのキャピラリー(毛細管)を使い、スカル(髑髏)の輪郭を描き出すという、極めてアーティスティックなモデルです。

そして、驚くべきは、その中古価格です。新品定価が軒並み1,000万円を超え、H2に至っては2,000万円近いモデルもある一方で、海外の中古時計市場(Chrono24など)を調査してみると、H0が約22,000ドル(約330万円)前後から、中には12,000ドル(約180万円)弱で出ている例までありました(※2024年〜2025年時点の調査)。

この「新品価格からの強烈すぎる価格下落」こそが、「hyt 時計 中古」と検索される最大の理由なんですね。

購入前に知るべき評判と信頼性

ただ、この常識はずれな価格下落には、当然、理由があります。それが「信頼性」への不安です。

正直に言うと、海外のジャーナリストやオーナーのレビューなどを調べてみると、特に初期のモデルでは信頼性や持続的な技術的問題が指摘されていた時期もあるみたいですね。「プロトタイプをレビュー中にベローがオーバーヒートした」なんていう、笑えない逸話も紹介されているほどです。

もちろん、ブランド側も手をこまねいていたわけではありません。「初期に存在した液体の問題は、すべて解決された」という2018年頃のレポートや、後のモデル($H_{2O}$など)では、流体モジュールが安全に動作する温度範囲(暑すぎたり寒すぎたりすると精度に影響が出るため)を示す「温度インジケーター」が搭載されるなど、改善を続けてきた歴史も確かに伺えます。

とはいえ、市場におけるHYTの一般的なコンセンサス(評判)は、「時間を知るための実用的な時計ではない」「高額なメンテナンスコストを恐れない愛好家向けの、キネティック・アート(動く芸術作品)」というものかなと思います。

HYTの中古時計の価値と将来性

HYTの中古時計の価値と将来性

Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)

さて、リスクの話が長くなりましたが、それでもあのデザインとコンセプトは唯一無二ですよね。ここからは、リスクを理解した上で見えてくる中古の「価値」と、新生HYTの「将来性」について見ていきたいと思います。

異常な下落?買取価格の現実

H1やH0の「中古販売価格」が100万円台〜300万円台から見つかることにも驚きましたが、私たちが売る場合の「買取価格」は、さらにシビアな現実を突きつけてきます。

国内のいくつかの主要な買取業者のWebサイトで公開されている、買取参考価格を見てみると、驚くべき数字が並んでいました。

国内業者の買取参考価格(一例)

※あくまでWebサイト上で公開されている参考価格であり、時計の状態、付属品の有無、時期、業者によって大きく変動します。実際の査定額を保証するものではありません。

モデル / リファレンス 買取参考価格(円)
H0 SS×ラバー 黒文字盤 約 1,023,000 円
HYT SS×ラバー スケルトン 約 1,320,000 円
H1 Ref 148-TT-11-GF-RU 約 1,900,000 円

(出典:複数の国内買取業者の公開データを2024年〜2025年時点で参照)

新品定価が1,000万円、モデルによっては1,600万円以上したものが、買取の参考価格では100万円台になっているんです…。これは、他のいかなる高級時計ブランド(例えばロレックスやパテックフィリップ)と比較しても、異常なレベルの下落率(デプリシエーション)ですよね。

新品定価のわずか5%〜10%程度になってしまう可能性さえあるのです。

私は、これは市場がHYTの抱えるリスク、つまり「ブランドの倒産リスク」と「修理体制のブラックボックス化」を、将来発生するかもしれない高額な維持コスト(=負債)として認識し、その価値をあらかじめ時計の資産価値から差し引いた(=価格に織り込んだ)結果なんじゃないかな、と思います。

逆に言えば、中古で買う人は、この「将来の負債」を引き受ける代わりに、他ではありえないほどの「安い入場券(購入価格)」を手に入れる行為、と言えるかもしれません。

新生HYTとハストロイドの登場

HYTの中古時計の価値と将来性

Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)

ブランドの将来性についても触れておきたいです。「倒産前モデル」のサービス継続を期待する上でも、今のブランドが元気であることは重要ですからね。

2022年に再始動した新生HYTは、「腕時計の宇宙船」という新しいコンセプトを掲げ、フラッグシップモデルとなる「Hastroid(ハストロイド)」を発表しました。アグレッシブで立体的なデザインは健在で、価格はCHF 70,000(当時のレートで約1,200万円)からと、相変わらずの超高級路線を貫いています。

ただ、少し気になる点としては、再始動の立役者だったダヴィデ・セラート氏が2022年11月に早々に退任したり、2024年7月にも新たなCEOが就任したりと、経営陣はまだ少し流動的なのかな?という印象も受けますね。ブランドの「完全復活」には、まだ少し時間が必要なのかもしれません。

ムーンランナーなど現行モデル

ハストロイド以外にも、新生HYTは意欲的なモデルを発表しています。

  • T1シリーズ: 従来のモデルが「デカ厚すぎた」という市場のフィードバックに応え、「より小型で洗練された直径」と「人間工学に基づいたデザイン」を明確に打ち出したモデルです。これは良い傾向ですよね。
  • S1シリーズ: 新たなスポーツライン。「S」は「Sport」を意味し、日本限定エディションなども発表されています。価格帯は1,300万円〜1,700万円台と、こちらもハイエンドです。

ブランド自身が「巨大すぎるケース径」という市場からのフィードバックを認識し、「装着感の改善」に継続的に取り組んでいる歴史(H0のラグレスデザインもそうでした)が見て取れます。このあたりは、中古でH1やH0を検討する上でも参考になる視点かなと思います。

中古個体チェックの重要ポイント

中古個体チェックの重要ポイント

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ここまで見てきたすべてのリスクを踏まえた上で、「それでも私はHYTが欲しい!」という「適格な」購入希望者のために。もし私が中古個体を選ぶなら、以下の点は絶対に、執拗なまでに確認します。

ポイント1:正規の保証書(ギャランティカード)とサービス履歴

これが一番大事かもしれません。特に倒産前モデルの場合、正規の保証書が揃っていることは、その個体が正規ルートで販売された「本物」であること、そして(理論上は)正規サービスを受けられる「資格」があることの、唯一の証明になるからです。

可能であれば、過去のサービス(修理)履歴が揃っていれば最高ですね。その個体がきちんとメンテナンスされてきた証拠になりますから。

ポイント2:リワインド機能の確認

店頭で許可を得て、リューズ操作で時刻を6時(または18時)の数分前に合わせ、そこからゆっくりと時刻を進めてみてください。6時(18時)を通過する瞬間に、液体がスムーズに、そして力強く逆行(リワインド)するかを確認します。ここの動きがぎこちなかったり、途中で止まったりする個体は、機械部分か流体モジュールに何らかの問題を抱えている可能性があり、絶対に避けるべきです。

気泡(バブル)の確認は必須

そして、上の2点よりもさらに、圧倒的に重要なのが「液体」の状態の確認です。

ダイヤルを様々な角度から光に透かし、明るい場所で、可能であればルーペ(拡大鏡)も借りて、キャピラリー(毛細管)の中に「微小な気泡(バブル)」が本当に一つも、塵(ちり)のような小さなものでも絶対にないか、神経質すぎるほど確認してください。

また、液体が分離したり、色が薄くなったり、変色したりしていないかも重要です。特に、着色液体と透明液体の境界線(メニスカス)がクッキリしているかどうかもポイントです。

なぜ「気泡」がそれほど致命的なのか?

しつこいようですが、本当に大事なことなので繰り返します。

HYTの流体モジュールは、微小な気泡が一つでも混入すると、その時計が使用される環境(例えば飛行機内や高地)の気圧の変化や、日常の温度変化(夏の車内や冬の屋外など)によって、その気泡が膨張したり収縮したりします。

それが密閉されたモジュール内の液体の圧力を変動させ、時間表示の精度を根本的に破壊してしまうそうです。

一度気泡が入った個体は、もはや「時計」としての機能を失っていると言っても過言ではありません。そしてその修理は、「気泡を抜く」といった簡単なものではなく、「流体モジュール全体の工場交換」を意味する可能性が極めて高いのです。その費用がいくらになるか、想像するだけで恐ろしいですよね。

HYT中古時計購入の最終判断

HYT中古時計購入の最終判断

Prestige Chrono(プレステージ・クロノ)

さて、「hyt 時計 中古」という検索に対する、私なりの最終的な結論です。

HYTは、時間を知るための「実用時計」として買うものではなく、「流体で時を刻むという、他では決して味わえない工学的なロマン」を腕に装着する、「キネティック・アート(動く芸術作品)」として買うものなんだな、と強く感じました。

その特殊すぎる技術と、不安定だったブランドの歴史は、必然的に高いメンテナンスリスクと、高額な維持コストを伴います。

もし、あなたが時計に「資産価値」や「安定したリセールバリュー」を少しでも期待しているなら、正直、HYTの中古は絶対におすすめできません。その場合は、資産価値が期待できる時計ブランドの記事で紹介しているような、別の選択肢を検討する方が、精神的にも経済的にも賢明かなと思います。

中古HYTが「最高の掘り出し物」になる人の条件

逆に、以下の条件をすべて満たせる人にとっては、この異常な価格下落は「最高の掘り出し物」、つまり「安い入場券」になる可能性を秘めていると思います。

  1. HYTの唯一無二の技術と「宇宙船」のようなデザインに、心から惚れ込んでいること。
  2. ロレックスやオメガ、グランドセイコーなど、信頼できる実用的な高級時計をすでに別途所有しており、HYTに「日常使いの信頼性」や「資産価値」を一切求めないこと。
  3. 購入後、数年ごとに(あるいは、ある日突然)発生しうる、スイス本国送りでの高額な修理・オーバーホール費用(数十万円〜、あるいはモジュール交換で100万円以上になる可能性も)を、「アートの維持費」として笑顔で許容できる経済的余裕があること。

中古のHYTを購入することは、確かにリスクの高い「賭け」です。しかしそれは同時に、時計史における真の革新性(イノベーション)を、その新品価格のほんの一部のコストで所有できる、またとない機会でもあります。

この記事が、その「ロマンへの賭け」に、あなたが自信を持って挑むかどうかの、冷静な判断材料になれば幸いです。